30センチの水深でもおぼれる?
松山市平和通1丁目5ー35
医療法人末光耳鼻咽喉科
末光 清貞
わずか30センチの水深でもおぼれることがあるのをご存知でしょうか。
まさかそんなことは、とお思いかもしれませんが事実です。
けっこう泳ぎの上手な人がおぼれた、という話しもお聞きになったことはあると思いますが、実は原因はめまいなのです。
いかに浅いところでも、瞬間に水を飲み、それが誤って耳管とういう管を通じて耳へ上がるとめまい発作を起こしてしまいます。
そして転倒して、さらに水が気管を通して肺へ入ってしまいます。
人間は耳の中へ体温とは違う温度の液体が入るとめまいを起こすのです。
病院でもめまいの検査で、耳の中へ体温より低い液、また高い液を注入してめまいを起こさせる検査方法があります。
正常であればめまいが起こるのです。
内耳には三半規管といわれる体のバランスをとるしくみがあり、その三半規管の中にはリンパ液という液体で満たされています。
温度刺激を与えると、そのリンパ液が対流運動を起こしてめまいになるわけです。
ダイビングをする方はトレーニングのときに教わると思いますが、何メートルか潜るたびに耳抜き、という操作をしないといけません。
中耳という空間の圧力が変わるためですが、もし耳抜きをしないと、圧力で鼓膜が破れて、冷たい水がいっきに中耳へ入って、めまい発作を起こし、最悪の場合おぼれてしまいます。
いるかの集団自殺という話を聞いたことがあると思います。
理由もなく、たくさんのいるかが海岸へ打ち上げられて死亡する話です。
大昔は神様の贈り物として食していたそうです。かわいそうに思った人たちが海へ返してやっても、また打ち上げられてくる。
実は解剖してみると、耳の中に寄生虫がいて、平衡感覚を失っているのだそうです。
それは古事記にも、打ち上がったいるかの耳が臭い、との記載があるそうです。